新興株市場の上場審査緩和提言へ・経産省、活性化策検討
IT関連企業の上場先としては、いわゆる新興市場が主になるのですが、その新興市場の上場審査を緩めることで、失墜した新興市場の信頼を取り戻し、ベンチャー企業の成長を後押しし、活性化を促せるとの目論見で、研究会を発足との事です。
株価は、市場を反映して会社の資産価値に繋がるものですが、「失墜」とは、まさに株価の下落で、市場が新興市場を嫌って、資金が入ってこないのです。
新興市場のIT関連株で、公開後の運用で利益を得られた投資家が、果たしてどのくらい存在したのか。市場の信頼失墜の理由として、ライブドアショックが明記されていますけれども、それが果たして今現在までの評価にまで、ずっと影響を与えているのでしょうか。
それは違うでしょ・と、私は思います。企業に成長の兆しがあれば、必ず市場は反応します。少なくとも、短期投資目的で利ざやを稼ごうとするならば、間違いなく買い気配の反応があるはずです。そして、信用と信頼感があれば、株式を長期運用しようとする人も出ますし、取引も活発になります。
ということは、現在の状況を見る限り、市場は新興市場に「失望」しており、投資価値を見出していない・これまで果てしなく損をさせられた新興市場に浮かれている状況ではない・と考えるのが普通です。
そこに、上場審査を緩和させたらどうなるか。それこそ、IPOのみを狙う投資の動きに拍車が掛かります。公開日に株を入手したら即高値で売却する、その後は持った人が損切り・損切り・損切り…、一番最後の人がジョーカーを持っている状態です。これでは、もう投資ではなくて投機です。また、創業者利益を確保した何年か後に上場廃止という企業も、これから出てくるかもしれません。
株式は本来、資金を集め易くして企業の創出や成長を助けるのが目的ですが、果たして、資金を集めた後に成長していくような企業が本当に上場しているのか。今の新興市場で取り扱われている銘柄は、どういう状態にあるのか。
審査の緩和は、今の失墜の状況を上回る場当たり的な上場を増やしてしまい、本来の成長を妨げるような気がしてなりません。そして、内外の投資家達は経験を積み、トレンドも見てきているためにずっと賢くなっています。魅力・信頼の無いマーケットに、軽々しく資本投下はしないでしょう。
ベンチャーと言いますけれども、ベンチャーで終わってしまう企業では、一時の金の流れを創出したに過ぎません。企業は社会への貢献が主たる役目ですが、その社会というのは「投資マーケット」だけでしょうか?
上場基準が厳しければ、発展性と展望のある、本当に企業を成長させていきたい経営者がそこを目指すのではないでしょうか。長期に渡って市場の評価を得られる企業、そういう企業にこそ投資価値があると私は思うのですが…