詳しい計画については、前回の記事をお読みください。ここまでやったことは、VMwareをインストールして、CentOSを入れて、mdadmでRAID5のボリュームを作りました。結果は成功でした。ところで、VMwareのちょっとしたTips。VMwareをインストールすると、5つくらいサービスが追加されるのですが、これの起動に時間が掛かる=Windowsの起動が遅くなるので、VMwareのサービスは、普段は手動にして止めておき、VMwareを使うときだけ、これらのサービスを起動するようにします。当方の場合は、バッチファイル(.bat)に、net start "VMware ...." を書いておいて、VMwareを起動させる前に、そのバッチを実行してから、VMwareを立ち上げる手順にしています。
この状態から、VMware上でTrueCryptを導入してみました。以下は、そのフローです。躓いたり失敗した部分がかなりありまして、次回同じようなことをやるときは先に準備をしておく為に、躓いた点もそのまま含めて、履歴としてフローに入れておきます。
TrueCrypt 6.0aをインストールする
{
MacOSX/linux向けのソースをダウンロードして展開
{
wxWidgetsが必要らしい
{
wxWidgets2.8.8 をダウンロードして展開
configure に失敗する(gtkが必要)
{
yum で、gtk を入れる(configure 失敗)
yum で、gtk2 を入れる(configure 成功)
}
make する(失敗, gcc が必要)
{
yum で、gcc-c++ を入れる
}
(一応) configure をやり直してみる
make install 成功
}
Readme.txt をよく見たら、NOGUI でmake できるらしい(gtk 不要??)
X で操作しないから、GUI は要らない
make NOGUI=1 WX_ROOT=/usr/src/wxWidget-2.8.8 wxbuild(成功)
make NOGUI=1(失敗, fuseが無い)
{
yum のリポジトリに、rpmforge を加える
fuse fuse-devel を入れる
}
Main ディレクトリに、truecrypt 実行ファイルが出来た
適当なディレクトリ(当方は/root/) にコピー
どうせroot権限でしか実行できないので、実行は、~/truecrypt
}
}
状況をまとめます。Opteron 2.0GHz (メモリ DualChannel 2GB)にインストールされたXP Pro SP3の上で動作している、VMware server(メモリ 256MB)の上でCentOS5.2を動作させ、物理ディスク3台を使用してmdadmソフトウェアRAID5を/dev/md0に構築、そのRAIDボリュームをTrueCryptで暗号化、Sambaでそのボリュームをネットワークに繋げて、ファイルサーバとして必要なときに機能させる。
こう書くと、かなり苦しいことをやっているようですが、エンクリプトの進捗状況を見ていると、32.5Mの暗号化速度が出ています。結構早いな…というのが、正直な感想です。RAID5のパリティ計算+暗号化の計算を、全部CPUでやっているので、CPU使用率は80%を超えていますけれども、ホストのXP上でちょっとした作業(※こんな文章をテキストエディタで書いたり、IEでのウェブブラウジング)では、ストレスは出ません。
ファイルサーバが要らないときは、ハードディスクの電源を落として、VMwareも起動させない。普通にXPだけを使うことが出来ます。当方のケースでは、まずクライアントマシンとしてXPを常用していること、ファイルサーバとはいえ実質的に保存するだけの用途、使わないときが多いためTCO(※Total Cost of Ownership ここでは、ITに掛かる全費用と考えてください)を抑えたい、こういった要素が複合して、このやり方をソリューションとして導き出し、また必要十分な結果を得ることが出来ました。
しかし、企業など複数の人が常用するファイルサーバなら、クライアントマシンに仮想マシンでサーバを入れて使うよりも、独立したマシンを用意する方が、パフォーマンス面でも安定運用面でも賢明です。IT導入は、そのケースと要求に応じた分析力と解決策が必要ですね。
ところで、ITコンサルタントって、こういった一連のIT技術を全て理解している必要がある・と、個人的には思っています。ITコンサルタントは、顧客とダイレクトに向き合うケースがほとんどですから、ソリューションについての企画立案とメリットやデメリットの提示・案件定義への理解+現場の進捗状況の把握(※時として指示)・初期交渉からスタートする対価の折り合い付け・e.t.c.、なんでも出来ないと、コンサルタントとして機能できないような気がするのです。
とはいえ、IT企業の仲介をメイン業務としてコンサルタントを名乗る方が、仕事としても楽だとは思うんですが…。それは嫌な意味ではなく、当方のメンタリティやスキルバランスを考えてみると、仲介によってIT企業に仕事を与え、それを管理したいと考えるよりも、自分の実務スキルを以って、実際に手を出す方を好んでいるからかもしれません(※正直、あちこちを見て回る事になるので、ロスが多くてしんどいですが…)。