期末は何かと忙しいものです。とりわけ今、多くの方が忙しくされているのは、おそらく確定申告ではないでしょうか。さて、昨年から導入されたe-taxによる確定申告、当方では昨年はe-taxの申込みだけしていて都合で出来なかったのですが、今年の確定申告はe-taxでやってみました。そのやり方や経緯を少し書いて見ます。それと、IT関連の見地からも少し評価してみます。
まず、役所に行って「住民基本台帳カード」をもらってきます。私の居住地では、トータル1,000円で発行されました。こちらは予約も何も要らないので、免許証を持って役所に行き、すぐに受け取ることが出来ます。発行してもらう際に暗証番号やら色々と入力させられますが、この暗証は「このカード自体の暗証」で、納税に使うことはないようです。このカード、電子証明になっていまして、PCにカードリーダで接続して、「確かに本人が申告を行っている通信である」という証明の役割を果たします。ちなみに、役所の方に「この電子証明書の発行料金は、経費扱いになりますか?」と冗談交じりに聞いてみたら、「難しいでしょうねえ(笑)」だそうです。
次に、家電店で「カードリーダ」を買いました。こちらは、e-tax対応でいくつかの商品が出ているのですが、私はUSB接続のカードリーダを3,000円弱で購入しました。多分、このカードリーダーを使うのはこのe-tax申告のときだけでしょう。また、今年は家族もe-taxで申告をするということで、このカードリーダは家族全員で使いまわしました。
そして、いよいよWindows PCにカードリーダをつなげ、電子証明書を差し込んで、役所でもらってきた電子証明のソフトCD-ROMのインストールから始まります。が、SunのJavaが必要なので、多くの方は、まずそれをダウンロード・インストールすることからスタートです。ちなみに、よく調べていないんですけれども、Linuxではe-tax申告は難しそうです(いや、どうも出来なさそうな気がします)。
次に、「e-tax申告を始めますよ」と、e-taxに知らせます。e-tax 国税電子申告・納税システム トップページにアクセスして、開始届出を行います。ここで、16桁の利用者番号と、自分で任意に決められるパスワードを設定します。ここまでが、e-tax申告を行う準備です。
そちらが終わると、いよいよ申告の書類を作って送信です。こちらは、
(1)e-taxソフトウェアで申告書類を作成・送信する
(2)e-tax 国税電子申告・納税システム トップページのホームページにアクセスして、ブラウザ上で申告書類を作成・送信する
の2つのやり方があります。基本的に、この操作は「次へ」「次へ」で、控除額や課税額などの計算も自動で行ってくれますので、どちらの方法でも、操作は難しくないのですが、大事なのは先ほどの「利用者番号とそのパスワード」です。パスワードを間違えないように。また、書類を作ること自体は難しくないですが、科目などは納税申告の通りですから、よく見て確認して、適当に数字を入れないようにしてください。
※e-taxソフトウェアを使用する際は、税率や控除額などを最新の税制にするために、アップデートを必ず忘れないように!これは毎年必要です。
※ブラウザで書類を作っているときには、ポップアップで画面が表示されるので、「ポップアップブロックを解除すること」、それと、タブブラウザ(IE7など)で沢山のタブを同時に開いている状態だと、ポップアップ画面が閉じられたときに、前の画面(申告書のベース画面)を見失うことがあります。そのときは、「あっ!入力が全部消えた!?」なんて騒がず、タブをひとつづつ確認してください。
さて、入力が終わったら、入力内容を保存して、「送信」します。申告書類を保存するだけではなくて、きちんと「送信」までを行ってください。この辺の流れは、上で述べたポップアップウィンドウのせいで、自分が何をしている流れの最中なのかが判りづらくなりますので、ご注意。
さて、送信が終われば完了ですが、その際には先のe-taxトップページから受付確認(ログイン)を行って、「自分が何が税務署に届けて・どういう状態なのか」を確認してください。通常、「開始届出」や「所得税申告」など、いくつかの提出項目があるはずです。「お知らせ」なんていうメニューもあります。税金徴収システムのe-taxに積極的にログインしてお知らせを確認しようという向きもないでしょうけれども…もし、控除や税金が戻ってくるなどの点が気になる方は、たまにログインしてもいいかもしれません。
2007年・2008年のe-tax申告(つまり今回ですな)に限り、5,000円の控除が受けられます。この控除は申告書類作成時に自分でチェックするのですが、お忘れなく。普通の状態だと、チェックが入っていませんので。
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このe-taxの利用率、昨年度は3%程度(※役所の人の話)だったそうですが、今年は多くなるのではないでしょうか。添付書類を同梱せずに済む点など利便性は高いですし、(これは私に限ってかもしれませんが)こういう新しいもの好きな人にとっては、受け入れられやすいシステムかもしれません。しかし、今までのやり方を手間を掛けてまで変えたくない人、住基の信頼性、納税ソフトやデータを入れたPCのセキュリティを心配する人など、e-taxを使わない人も多かったんじゃないでしょうか。
例えば、1年に1度しか使わない長い16桁の利用者番号やパスワードは、マイドキュメントの「確定申告2007年度」フォルダなんかに「利用者番号とパスワード.txt」なんて保存しておかないと忘れちゃいますし(※しかし!パスワードなどに関しては、こういう事をしないで、紙に書いて別の場所にしまっておくのが情報保護です。パスワード漏洩などは、ウィルスなどによるキーロガーやネットワークのハッキングだけじゃありません。ユーザー名とパスワードをブラウザに覚えさせたり、会社のPCにポストイットでユーザー名とパスワードを貼り付けるなどもってのほか)、ってことは、マイドキュメントに暗号化でも掛けておかないと、誰かがPCを触って見ようと思えば見れてしまいますし、保存した納税データは通常の.xmlなので、それこそ納税額も素で見れますし。そういう点では、データ保護の観点を重視して、データの暗号化はソフトウェアとして持たせたほうがいいのではないかなと思いました。